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執筆者の写真音まち千住の縁

千住のまちなかに絵本の文庫をつくりたい|足立真利

更新日:2019年12月2日


プロフィール

足立真利|あだち まり

宮城県出身、幼少期は親の転勤で引っ越しを繰り返す。

初めての一人暮らしは北千住で経験し、現在は松戸在住。

2021年から、音まちのボランティアサポーター「ヤッチャイ隊」に参加。

幼い頃から大好きな本に関する仕事をするかたわら、音まちの活動拠点「音う風屋」にも文庫を設立した。



図書館が居場所だった

 以前は一般企業に勤めていたのですが、今は大学図書館の司書をしています。学生さん相手なので、教育や指導の部分も大きいのですが、本に囲まれている仕事が夢だったので、叶っているのはありがたいです。

 なんで本が好きになったのかと思い返すと、父の転勤で引越しが多く、引っ込み思案な方だったので最初はお友達がなかなかできなかった。そんな中、どこに行ってもあるのが図書館で、自然と居場所になっていったんですね。図書館なら1人で居ても不自然じゃなかったですから(笑)。そう、もっと小さい頃、仙台にいたのですが、家の近くに「おひさま文庫」という私設の文庫があって、母がよく連れて行ってくれた。あのときは当たり前と思っていたけど、自分の家を解放してものすごい数の本を置いて、地域の人に貸し出すってすごいですよね。それが私の原体験ですね。


北千住に暮らして

 2009年に千葉の実家を出る転機がやってきて、千葉県民にとっては一番近い東京である北千住に引っ越しました。一人暮らしを始めて、隣の部屋の子とお友達になったりとか、どういう人が住んでるんだろうって、いろいろ地域に目が向くようになったんです。2011年に震災があったことは結構大きくて、生活や生き方についてすごく考えさせられました。この年は復興支援のボランティアに土日に一人で行っていて、忙しくしていました。

 音まちと出会ったのは、2012年の3月、お客さんとして行った「風呂フェッショナル」でした。なんていうか、いろいろな概念がぶち壊されて。銭湯が会場とか、だじゃれとか、水着の人たちが楽器をしてたりとか。でも、すごい面白かったです、全部ひっくるめて。その後8月くらいの区報で「ヤッチャイ隊募集」っていうのを見て、お手伝いできるならって単純に思って、気軽に入りました。初めての活動では、足立市場でポップコーンを売りました(笑)。いまは松戸に住んでいるんですけど、北千住は帰る場所って思ってます、未だに。北千住に行けば知ってるお店があったり、知ってる人たちがいたり、行けば誰かしらに会えて。久しぶりに行っても、元気?って、いつでも声かけてくれる人たちが待っている、よりどころになってます。


本は人がつながるツール

 2012年に「ヤッチャイ大学(ヤ大)」が立ち上がって「音う風屋」を毎週土日に開けていたんですが、その当番の人が自分の思いでやりたいことをやっていたんですね。それで私は、音う風屋に文庫を作ろうと思ったんです。楽しかったですね。自分がやりたい!って言ったことを面白がって、みんな賛同してくれるっていう環境が、社会とか会社には少ないから。会社で、これやりたい!って言っても、すぐには通らないですけど、ヤ大の場合はもう、それを一緒に面白がってくれる人たちがいっぱいいて。本棚作りたいって言ったときも、あっという間に集まったんですよ。みなさんそれぞれおうちで余っている本とか持ってきてくださいって言ったら、翌週には集まって、本棚に入りきらないくらいで。もう段ボールに在庫みたいになっちゃって。見出し作ったり、誰が持ってきたっていうのがわかった方が絶対楽しいと思って、持ってきてくれた方には帯にお勧めコメントを書いてもらったりしました。本の中に書いてあることをやってみよう企画で、ホットサンドの本を手にして、集まっているメンバーで近所の商店街に中身の具だけ買いに行って、とにかくパンに挟んで食べてみる、なんてこともしましたね(笑)。

 私自身の原体験が文庫だったので、本を置けばその本に対して興味を持ってくれる人が集まって、地域の方と本を介して関われるかなと思ったんです。通りすがりの方が足を止めてくださって、中を覗いていただける余裕のある方は手にとって……「こんな系の本だったらうちにもあるよ」って言ってくれたりとか、「今度持って来ますね」って言ってくれたりということが実際にありました。

 音う風屋が引っ越すことになって、文庫が未完成のままなのが心残りだったんですが、新拠点のたこテラスではぜひ絵本を集めた文庫を開きたいです。こどもは反応がすごく正直なので、楽しそうな気がします。自分が本に近づくきっかけになったような、そういう体験が出来る子を増やしたいって思っています。



(インタビュー・執筆:舟橋左斗子)

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