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執筆者の写真音まち千住の縁

ワクワクする。そこから、まちが変わる。|遠田 節

更新日:2019年12月2日


プロフィール

遠田 節|おんだ たかし

足立区生涯学習振興公社 学習事業部 放課後子ども教室地域担当。文化事業に携わること早20年。 その豊かな経験と人脈で、音まち発足時から心強いアドバイザーとして協力。 千住だじゃれ音楽祭には完璧なオヤジギャクを提供、トーク企画にもスピーカーとして登壇し、「千住の1010人」で音楽隊デビュー。 生まれ育った千住のこれまでとこれからを、楽しみつつ、あたたかい眼差しで見守っている。



めちゃくちゃ楽しかった

 初めて出演者として音まちに参加したのは、2014年の「千住の1010人」(※1)です。参加者集めのお手伝いをしているうちに家で娘が幼稚園のとき吹いてた鍵盤ハーモニカを見つけて、「簡単そうだし、面白そう」と思って、自分も出ることにしたんです。それで東京藝術大学千住キャンパスで開かれた野村さんの鍵ハモワークショップに参加した。今は住まいは西新井ですが、千住で生まれ育ったので、そのとき、今の藝大千住キャンパスが45年前に千寿小学校だった頃、鼓笛隊として演奏したことを思い出した。「アートってすごい。45年の時を軽々と飛び越える」ってFacebookに書いた覚えがあります。「1010人」がすごく楽しかったっていうのがあったので、今年の「メモリバ」(※2)の音楽隊にも参加しました。

 合奏の一部になるっていうのは、こんなに楽しいんだって、音まちで知りましたね。ものすごく緊張のしたけど本番もめちゃくちゃ楽しかった。自由にアレンジして弾いちゃう人もいたので、自分はメロディを見失わないように必死だったんですけど(笑)。

 合奏って初めて会った人同士でも、人の音に耳を済ませたり、合わせたり、すごく濃厚なコミュニケーションが生まれるんですね。スポーツでは経験済みでしたが、音楽は初体験でしたから新鮮でした。スポーツと違って音楽には勝ち負けがないでしょ。特に音まちは、経験がなくてもとくてハードルが低いし、例えば、すっとんきょうな音を出しても楽しい。その包容力はすごくて。「1010人」に至っては楽器が弾けなくてもよかった(笑)。失敗したらみんなに迷惑かけちゃうって参加を躊躇してる人もいると思いますが、なーんだ遠田さんでも出られるの、って思ってもらえたらいいかなっって(笑)。


アートにはゴミ拾いと同じ効果がある

 1996年にスポーツ部から文化事業部に異動して、西新井のホールで事業担当になりましたが、専門的に学んできたわけではないので拠り所がなかったんです。それで、そのときの上司のアドバイスで年間100本近く見たことになるかな。自分で実際に観たものと、そこでつながった人たちっていうのが自分の拠り所になっていった。その頃から自分なりに、アートには、よくわからないけど人やまちを変えていくすごいパワーがあると感じていて、まちの抱えている問題を解決するためのツールとして使うことを考えてきました。税金を投入しているわけだから、少なくとも自分たちはそれを信じてやるべきだと、いつも部下に話していました。

 アートには人と人とをつなぐ力があるじゃないですか。だから地域の問題を解決する第一歩になる。それはラジオ体操や町内ゴミ拾い運動でもいいかもしれないけど、そこにアーティストが入って何か不思議なことが起きて人がつながっていったら、それは面白いし、力があると思う。


おじさんたちがまちを変える!?

 今、「メモリバ」を支えるまちのおじさんたちの入れ込みようはすごいなと思いますね。彼らは、「町会長に頼まれたかたやってやろう」っていうだけじゃなくて、「大巻伸嗣の『メモリバ』、すごいだろ」って自ら言う。こんなことが、こんなに早く起こるとは思ってなかった。お年寄りや子供たち、世代を超えた層にも目が向くきっかけになっているし、おじさんたちがエリアを越えて関わってくれて、希薄になりつつあった絆が強くなったとしたらすごいことです。行政が旗振って「町会に入りましょう」って言ったってそうはうまくいかないじゃないですか。

 自分にとっての音まち?ちょっと中途半端な立ち位置ですが、人集めなんかでスタッフに協力する楽しさと、純粋に観る楽しさ、もうひとつ音楽隊として参加する楽しさ、3本立てで楽しんじゃってるっていう感じですかね。


(インタビュー・執筆:舟橋左斗子)



※1 千住の1010人:作曲家 野村誠を中心に展開している千住だじゃれ音楽祭が2014年10月に足立市場で開催したイベント。

※2 Memorial Rebirth 千住(通称:メモリバ):無数のシャボン玉によって、見慣れたまちなみを光の風景に変貌させるアート・パフォーマンス作品。2015年度は足立市場で開催。

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