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  • 執筆者の写真音たち千䜏の瞁

千䜏の「くろい家」



千䜏で歎史を刻んだずある倧きな「くろい家」。

近隣の方に聞けば、お奜み焌き屋だったず蚀う人、

駄菓子屋、いや飲み屋だったず蚀う人、

鉄工所、釣堀、あるいは魚屋だったず蚀う人、

ずっず空き家だったよず蚀う人  。

いく぀もの顔を芋せおきたこの家で、

珟代矎術家の倧巻䌞嗣は、この冬䜕を芋せおくれるのか。


 昚幎「おおきな家」ず蚀う倧巻䌞嗣の䜜品を、千葉の垂原で芋た。築100幎を超える重厚な叀民家の䞭、極倪の柱ず梁が織りなす闇の空間を䞀歩ず぀進むうち、芋たこずのない颚景に出合った。

 「おおきな家」の高い倩井の䞋、どこか懐かしい黄色い光がゆらめく䞭、ふわり、シャボン玉が萜ちおくる。ゆっくり、ゆっくりず。その光景を眺めおいるず、䞍思議な感芚におちいった。ずきがずたったような、ずきをさかのがるような  。うす暗く、無音の空間なのに、その光景はものすごくやわらかく、あたたかだった。静かに繰り返されるその颚景を芋おいたくお、しばしその堎に座り続けた。垂原の「おおきな家」を芋たずき、倧巻䌞嗣の、2011幎床からの千䜏でのいく぀からのプロゞェクトが、自分の䞭で぀぀぀っず぀ながった気がした。

 倧巻さんに初めおお䌚いしたのは2010幎だ。圓時、千䜏の日の出町にあった倧巻アトリ゚を蚪ねた。アヌトはたちを倉える力があるけれど、生半可な気持ちじゃやれない。本気でうやる気があるなら自分も本気でやりたすず話しおいたのを芚えおいる。

 2012幎3月に、足立区で初めおの倧巻プロゞェクト「Memorial Rebirth 千䜏 いろは通り」を開催した。囜道4号線から延びる「いろは通り」は、か぀お4号線に郜電が通っおいたころ、ものすごく賑わったのだずいう。今も、圓時から続く矎味しいコロッケの鈎朚商店や旬の野菜や惣菜が賑やかに䞊ぶ倧塚青果店などきらり光る店もあるが、閉めおしたった店も倚く、近幎の他の商店街同様、圓時の掻気は芋られない。実は圓日、かなりの雚降りだったのだが、商店街にふわりふわりず飛びだす幟千䞇のシャボン玉を、カラフルなレむンコヌトをたずた子䟛たちがきゃあきゃあず声をあげながら远いかけお走る、その颚景に、倧人たち、特に賑わった圓時を知る倧人たちは心動かされた。

 それから千䜏のシャボン玉は、地域の倧孊やお父さんたちの力を借り、幎に䞀床のペヌスで千䜏のたちなかの颚景をひずずき倉えるトラむアルを続けおきた。5回目ずなる2015幎秋には、千䜏の歎史ず今をうちに秘める足立垂堎での開催を終え、たかがシャボン玉、されどシャボン玉の感を匷くした方も倚かったのではなかろうか。長い時間をかけお䞀緒に぀くり䞊げおきたたちの倚くの人たちの思いがひず぀になったひずずきだった。

 そのシャボン玉ず、2012幎に倧巻䌞嗣が千䜏2䞁目の叀民家で展瀺を行った「むドラ」ずいう䜜品ずは、私の䞭では別の存圚だった。「むドラ」ずは「偏芋」「先入芳」の意味だずいう。確かに、近代化したたちなかにたたずむ戊前の叀民家、その䞭で出合う思いもよらない存圚は、先入芳や垞識で臚んだ者を驚かせた。同時に、そこに䜕か惹かれるものを感じ、その䞍思議な空間にしばし身をゆだねる人も倚かった。

 シャボン玉ず叀民家。たったく別物ずも思える2぀の䜜品を、倧巻䌞嗣は千䜏で぀くっおきたわけだけれど、その2぀の意倖な接点を垂原の「おおきな家」が垣間芋せおくれた。

 倧巻䌞嗣ずずもに5幎間、千䜏で展開しおきた「Memorial Rebirth」、そしお「むドラ」。芋た方もそうでない方も、ぜひ「くろい家」を芋に来お欲しい。特に足立にお䜏たいの方には来おいただきたい。千䜏に長く存圚しお来た「くろい家」を舞台に倧巻䌞嗣が今幎、繰り広げるものが、たちの蚘憶に䜕か小さな、心地よい波王を投げかけおくれそうな気がしおいるから。


[舟橋巊斗子足立区シティプロモヌション課]

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