メモリバにとって不可欠な存在、それが市民チーム「大巻電機K.K.(以下、K.K.)」。本番当日の運営サポートだけでなく、通年で学生や事務局スタッフとミーティングを重ねながら、活動を広めるプレイベント等の実施や地域イベントへの参加など、いろいろな場所や人びととともに、メモリバを拡げていく「コトづくり」をしています。
今年の本番を迎えるにあたって、K.K.のメンバーと大巻伸嗣さんの声をお届けします。
あなたにとってのメモリバとは?
ふぁも 3月に千住に引っ越してきたばかりです。地域に住んでいる人と何か楽しいことができたら、住んでいてもっと楽しくなるんじゃないかなと思って参加しました。
井筒 関わりはじめた頃(2012年)の関係者は、続くかどうか半信半疑だったのではと思いますが、今では当時参加していた小学生が高校生くらいになって、「小さい頃に見た」と耳にすることもあって。メモリバが、昔行ったお祭りの思い出話と同じレベル感になってきたなと、楽しんでいます。
アンテナ 初めて参加したのが大雨の日で、でも、奇跡的に雨の合間でパフォーマンスができて、天気に一喜一憂してる自分の感覚が、農耕とか昔ながらの人間の営みにすごく近いものを感じて。あの喜びを味わえるのは、メモリバ特有だなと。それから、そういう大人たちを子どもたちに見てもらいたいなって気持ちもあって…。
西宮 「大人の学祭」っぽいですよね。メモリバの本番はちょうど秋開催が多いので、学生時代にやったことを身体が覚えているんですよ。
田中 気負わずにいられるひとつの居場所みたいな感じです。あと、子どもたちがはしゃぐ表情や、みんなが一緒に準備して雨にも負けず頑張っている姿を見ると、なんか元気になって帰れますね。
林 「日常のなかの非日常」かなと思っていて。例えば普通に生活していてはまず出会えないような、本当に幅広い人と仲間になって協働できますしね。今大事にしているのは、メモリバのこういう関わりを「場」にしていきたいなということです。毎回来ても来なくてもある、数年関わらなかった人がたまに来てもある、みたいな「場」。
白山 千住に住みはじめた後に子どもが生まれて、子どもにとってはここが地元になっていくんだと、あるとき思いました。なので、いつまでも私自身がよそ者感覚でいるわけにはいかない、このまちを自分の地元にするために何かに参加しようと考えて、K.K.に参加しました。
遊佐 去年の本番で、空にシャボン玉がぐーって引き込まれていくとき、方向感覚や記憶を一瞬失ったみたいな、初めての感覚があったんですね。同じように、見ている方々のなかにも何かが起こっているんじゃないかなと。そうやって何かを揺り動かすものが、まさにアートなんじゃないかなって、最近考えています。
髙橋 人と人をつないでいってくれる感じですね。メモリバが初めて、西新井に来てくれたときに、周辺からもたくさんの人が集まったり、メモリバの活動を通して、エリアを越えた行き来も生まれたりして。以前は「子育てが終わったら何しようかな」なんて思っていましたが、今は人とつながるような活動を自らするようになっています。メモリバがなかったらきっとやっていなかっただろうなと思います。
小野寺 大学の先輩に誘われたのが始まりで、だんだん自分の後輩にも手伝ってもらうようになりました。周りや自分が大学を卒業していくなかで、なぜ残っているかっていうと、先ほどあったようにまさにお祭りみたいな感覚なのかなって思いますね。年に1回だし、よし行くかみたいな。ここでしか会えない人もいらっしゃいますし、そういう方たちに会いに行く、顔出しに行くみたいな感覚が一番近いですかね。
寺澤 メモリバの活動のなかで、小さな子どもたちが無邪気に喜ぶ姿、そしてそれを見て嬉しそうな親御さんを見ては、子どもたちが何年か先に脳裏に焼きついた景色を思い出してくれる日がきっとくるに違いないと、自分自身の幼い時に見た思い出と重ね合わせています。
大巻 現代社会では、人びとが孤立し、他者との関わりを避ける傾向が強まっています。しかし、メモリバは人と人、そして人と場所がフィジカルに交わり合うことを最も大切にしています。「新しい祭」をテーマに、参加者の記憶に残り、世代や人種を超えて、まちや空気が循環するそのプロセスを目指しています。
今年のメモリバ、期待や見どころは?
アンテナ 子どもたちがどんどん参加できるといいなと思います。
林 メモリバって、学校とか市場とか、これまではまちなかでやっていると思うんですけど、広大な公園で自然に近いところでやるのは今まであまりなかったのかなと思って。そういう場所で、どういう違った表現が生まれてくるのか楽しみです。
田中 学生時代、まさに舎人公園での実施に向けた準備に関わっていました(2020年度の開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大のため中止)。当時できなかったことができるのが楽しみです。
楊 以前アートの仕事に関わっていたのですが、改めて、自分とアートの関係について、考える機会になっています。
郭 メモリバの写真を初めて見たとき、「大きなかき氷みたい」と思いました(笑)。アートとおいしい食べ物のコラボレーションがないかと期待しています。
西宮 「大巻さんの作品といえば舎人公園」となるようにしたいなという野望があります。
井筒 今年でメモリバ学校(※)も2回目ということで、本番のオプションではなく、ちゃんと存在感を出せるようにつくっていきたいと思っています。ところで、立ち上げから数年経った頃、「K.K.はどんな存在なのか」を事務局に問うていた時期があったんです。メモリバは地域の人だけのものじゃないし、大巻さんだけのものじゃないし、スタッフだけのものでもない。そういう人たちがいろいろ絡み合って、祭りごとみたいな形になっていると思うんですよね。それぞれが長く関われる場にするため、今のメモリバを、そして今回の本番を「未来の記憶」にするために自分はどうしたいかってところを、もっとスタッフや学生にもガツンと言ってきてほしいと思いますね。そういうふうに「やりたいこと」をすり合わせて積み重ねて、今があるんだと思う。
※12月の本番に向けて行うワークショップ企画。
寺澤 今年はいろいろな意味でワクワク感がMAXかもしれません。このメモリバを成功させ、今後につなげていけたらと思います。メモリバを支えるメンバーが続々と増えて、チームを支えてくれるメンバーもいて、本当に嬉しく思います。
大巻 今回の舎人公園での開催は、当初10周年を記念して企画されたものですが、コロナ禍の影響で中止となり、そこから4年が経過しました。桜の木々や大きな池、噴水が広がるこの場所で、これまでつないできた思いをみなさんとともに共有できればと考えています。舎人公園という空間が開かれ、私たちがともに創り上げる「メモリバ」が、多くの人びとを結び、賑わいをもたらすことを願っています。
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ふぁも(2024年〜) 会社員。
井筒正義(2012年〜) 会社員。元 東京電機大学助教。
アンテナ(2024年〜) 足立区内で、「みんなのひみつきち」「ふらっと・とーと」等の居場所の企画運営などを手がける。
西宮美奈(2019年〜) 会社員。
田中天眞音(2022年〜) 東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業。学生スタッフとして携わったのち、K.K.として参加。
林祐悟(2019年〜) 会社員。
白山貴志(2019年〜) 会社員。
遊佐操(2023年〜) 会社員。
髙橋純子(2017年〜) 自営業。西新井地域の児童委員や小学校PTA会長等を歴任。
小野寺慧知(2013年〜) 会社員。東京電機大学大学院博士課程(後期)修了。
寺澤昌記(2012年〜)会社員。大巻電機K.K.リーダー。
楊朝暉(2024年〜) 会社員。
郭(2024年〜) 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科修士課程在学中。
大巻伸嗣 美術作家。「Memorial Rebirth 千住」の作者。
*登場順 *( )内は参加年
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大巻伸嗣 Memorial Rebirth 千住 2024 舎人公園
日時|2024(令和6)年12月1日(日)
会場|都立舎人公園 噴水広場(東京都足立区舎人公園1-1)
開場|12時30分(昼の部:14時開演 / 夜の部:17時開演)
入場無料(申込不要)
主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、東京藝術大学音楽学部・大学院国際芸術創造研究科、特定非営利活動法人音まち計画、足立区
※本事業は「東京アートポイント計画」として実施しています。
【2024年11月発行号掲載】
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