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  • 執筆者の写真音まち千住の縁

自作スピーカーを背負い、自作アンプをぶら下げて、演奏を!

更新日:2021年8月27日


プロフィール

坂口千明|さかぐちちあき(だじゃ研メンバー)

1937年生まれ。法政大学を通信教育で卒業。無線通信機メーカーで6年ほど勤務(第1級無線技術士免許取得)後、国家公務員試験「中級(電気・通信)」合格により大学職員(文部技官)になる。次年度同試験「上級甲種(電子・通信)」に合格し、教育工学に関する技術職として従事。著書、論文、学会発表、技術報告など(共著含む)総計116本。定年後は趣味としてエレクトリックマンドリン演奏、音響機器製作などを行い、現在はだじゃ研主要メンバーのひとり。




「あれ?」って思いました

 だじゃ研(=だじゃれ音楽研究会)に参加した初期のころ、びっくりしたのは、楽譜らしい楽譜がないわけです。B4の紙1枚しかなくて、確か、1小節は音符があって、あとは絵が描いてあるだけ。「あれ?」って思いました。所属している合唱団とかバンドでは楽譜通りにしかやったことがなかったので最初は戸惑いましたが、だんだん面白くなって(笑)。

 初めて2014年の1010人※1に参加したとき(77歳のとき)は、足立市場という広い場所に演奏者を1010人集めて、観衆はその場の真ん中にも端にもいるし、演奏者もだんだん移動して。そんな面白いやり方、見たこともなかったので、おそらくだじゃ研に入れば、また別の面白いことができるんじゃないかって思って、その後参加したんです。



無線技術士に挑んだ20代前半

 僕は長野で生まれ育ちました。高校卒業後、最初は長野の無線通信機メーカーに勤めた。働くうちに、無線技術士って免許があることを知って、免許を取れば給料も上がるし正社員にもなれるんじゃないかと思って、第1級無線技術士を取得したんです。その後、偶然新聞広告で国家公務員試験の記事を見かけて応募して大学の職員(文部技官)になって34年間勤めました。勉強はあんまり好きではなかったけど、無線技術士を取るとき強烈に勉強したので、公務員の試験問題を見たとき易しくてびっくりしました。働きながら、玉川大学、慶應義塾大学、法政大学の通信教育課程でも学びました。大学に行った理由ですか? はっきりいえば暇つぶしです(笑)。

 仕事の一例としては、工学部の音響の授業に実験を取り入れて、より分かりやすくする教育計画を立てて実践しました。カメラを数台据えて、実験をやっているところを録ったりして、それを見て改善点を見つけて次年度の参考にすることを試みました。

 64歳で仕事をやめてからは暇で暇でしょうがなかった。たまたま購入したヴァイオリンがあったので、64歳からヴァイオリン教室に半年通いました。70歳を過ぎてから、バンド、カラオケ、合唱団をはじめ、だじゃ研にも参加するようになったんです。



おもしろ廃材スピーカー

 だじゃ研の研究大会は、分科会やシンポジウムがあって、仕事で参加してきた学会とそっくりに運営されているんですね。第2回研究大会では、一例として、スーパーで、焼いた秋刀魚を買ってきて写真を撮り、そのトレイに、撮った秋刀魚の写真を貼ってスピーカーにし、「おもしろ廃材スピーカー講座」という講座をしました。第3回研究大会では、「音の不思議」という発表をしました。これは、弦の長さと音の高さの関係をフラットマンドリンを使って分かりやすく説明したものです。僕にとって斬新で貴重な経験でした。

 だじゃ研では、エレクトリックマンドリンを演奏しています。ヴァイオリンはそんなにうまくないことがわかっていたし、マンドリンは指使いが同じで、だじゃ研では僕ひとりなので、比較されないのがいい(笑)。毎回必ず即興音楽をやるんですが、面白いですね。何をやってもいいんです。棒を持ってきて何かを叩いてるだけでもいい。

 僕は年齢的にも体力がないので、長時間のものはダメなんですが、その辺の融通が利くのもいい。1010人のときもリハーサルが6回くらいあったのですが、1回出ればいいと言われて、あとは配信されていた動画を家で見ていました。



アンプ18号機、試作中!

 だじゃ研では何やってもいいって言われて、自分でアンプを組み立てています。市販のアンプは重くて大きくて高価格です。僕は無線通信機メーカーに勤めていたとき、いろいろな電子回路を使って船舶用の無線通信機などをつくっていた経験からアンプを組み立てることもできるんです。

 クーラーの入っていた梱包材やカップ麺の容器など、いろいろなものを使ってつくってきました。こういうことを面白がってくれるのは、だじゃ研しかないですからね(笑)。今、つくっているのは18号機で。100均の透明な飼育容器をケースにしてつくっています。透明素材は、光を当てて影絵にすると面白い。

 次の1010人では、自作のスピーカーを背負って、自作のアンプをぶら下げて動けるようにしたいですね。以前は楽譜がないと何もできなかったけど、今はだいぶ慣れたので即興を楽しみたい。

だじゃ研は、20〜50代とか、学部生は19歳とか20歳でしょ。僕にとっては、いろんな世代がいるってことは面白いし、いいことです。


インタビュー・執筆=舟橋左斗子





※1 野村誠 千住だじゃれ音楽祭「千住の1010人」。2011年から千住で「だじゃれ音楽」に取り組むアーティスト野村誠が、足立市場を会場に、2014年にチャレンジした、千住で1010人で演奏するという壮大なだじゃれ。




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