第2回 定期演奏会「かげきな影絵オペラ」をペラッとご紹介
みなさん、こんにちは。作曲家の野村誠でーす。5年間の沈黙の後、ついに開催します。「千住だじゃれ音楽祭 第2回定期演奏会」でございます。5年ぶり2度目です。なんだか、甲子園の出場校みたい。5年ぶりって、オリンピックよりも長いじゃない、どこが「定期演奏会」?というツッコミが聞こえて参りますが、大変お待たせいたしました。満を持して、ついに開催であります。
いろいろな見所があります。第1回で大好評の「だじゃれは言いません」を、5年ぶりに再演いたします。まちなかで「だじゃれを言ってください」と質問された方々の言葉を収めた映像と、仙台フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター(*1)の神谷未穂さんの華麗なるヴァイオリンの超絶技巧が共演します。必見/必聴です。
三味線もあります。「邦楽落語」などにも意欲的に取り組む地歌箏曲家の竹澤悦子さんが、溝入敬三作詞・作曲の三味線オペラ「猫に小判」を演奏してくださいます。これは、我が「だじゃれ音楽祭」と無関係につくられた曲なのですが、だじゃれ満載の傑作で、音楽的にも、非常に高度な技法を凝らした名作なのです。
第1回定期演奏会で「まちまちマーチ 待ちくたびれて」を作曲してくださった梅津和時さんにも、再登場していただきます。ジャズという枠にとどまらない自由で力強い演奏。絶妙なユーモアと美しい音色。梅津さんのサックス、クラリネットが、千住に響きます。梅津さんと鮮度の高い「だじゃれ音楽」を、アドリブ交えてお届けします。
テノール歌手の中原雅彦さんには、この5年間に生まれた数多の「だじゃれソング」を、歌っていただきます。子供たちと冗談言いながらつくった「レモンのいれもん、そんなバナナ、ゴリラはこりごりらー」なんて歌も、中原さんの美声で歌われると、イタリアオペラを聴いているかのような錯覚に陥るのであります。ブラボー!
だじゃれ音楽の国際化にも取り組む中、インドネシアやタイでは、影絵とも出合いました。(*2)ガムラン奏者であり、第27回五島記念文化賞美術新人賞を受賞した注目の影絵アーティスト川村亘平斎さんの登場です。川村さんは、バリ島での1年間の研鑽を経て、帰国されたばかり。さらなる飛躍をとげた川村さんと、だじゃれ音楽が、かげきにオペラします。
こうした多彩なゲストを迎え撃つのが、市民グループ「だじゃれ音楽研究会」です。会社員、学生、自営業、音楽家、だじゃれ活用協会会員などが集い、ゆるゆると音楽やだじゃれを楽しんで参りました。私は、この楽団は、世界に誇れる柔軟性の高いバンドだと思っております。「こんなに大人が楽しそうにしているのを見たことがないの」と形容されたこともあります。イキイキと、奇想天外な表現の数々がめくるめくことでしょう。
野村が、こうした参加型の音楽プロジェクトをやり始めた頃に作曲した「でしでしでし」も上演します。水戸市の双葉台中学校の吹奏楽部とロックバンドと路上バンドと2台ピアノが共演した野村のデビュー作とも言うべき作品で、日本で演奏されるのは23年ぶり。演奏自体は、オランダで演奏されて以来なので、15年ぶりです。
千住だじゃれ音楽祭 ディレクター 野村 誠
(*1)オーケストラの第1ヴァイオリンの首席奏者
(*2)野村誠とだじゃれ音楽研究会のメンバーで、2015年末にタイ、2016年末にはインドネシアに遠征した(助成:国際交流基金)
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